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仕事の仕組み作りの方法
仕事の仕組みづくりの方法とは、ちょっと言い方は悪いですが、簡単に言ってしまうと「ロボット化する」ということです。例えるなら、次のような感じです。
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「自分をロボット化」すれば、作業はルーチン化されて簡潔になるため、繰り返しながら改善しやすく、さらに短時間でこなせるようになります。また、頭で考えることが減るため、思考にゆとりがうまれます。思考のゆとりを作るのは、仕事や事業で成功するのには大切で、特に、服を選ぶのに時間を使わないよう、いつも同じ服を着る人は多いです。例えば、Apple創業者のスティーブ・ジョブズ、天才物理学者のアインシュタイン、元アメリア大統領のバラク・オバマ、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグは、意図的に、いつも同じような服を着ています。またアインシュタインに至っては、靴下を履かず、髪の毛もボサボサにすることも、貫いていました。
自分の生活をなるべくシンプルにする人のことを、最近は「ミニマリスト」とも呼ばれていいますが、成功者にはミニマリストが多い、ともいえるかもしれません。日本のミニマリストとして有名なのは、芸能人のGACKTさんがが「弟」と認めた、ホストの帝王と呼ばれるROLANDさんです。Youtubeの動画『現代ホスト界の帝王ROLAND。超ミニマリストな自宅を公開。』の中でも、私生活での徹底的なミニマリストぶりがうかがえます。成功者は、仕事以外で余計な決断をして「決断疲れ」することを回避するために、日々の決断を少なくするようにしており、日常生活をロボット化しているとも言えます。
「他人をロボット化」すれば、他人に仕事を任せることができるため、自分の仕事が減ります。例えば、パートや部下に仕事を任せるようなイメージです。自分の仕事が減ったら、その分、自分は創造的な仕事を行うことができます。
なお、自分をロボット化することができれば、その仕事の仕組みをそのまま、他人に任せて、他人をロボット化することも可能になります。そのため、まずは、自分の仕事をロボット化するようにしてみましょう。
仕事の仕組み作りの方法のポイント
仕事の仕組み作りの方法で、ロボット化するための重要なポイントは、次の3つです。
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「1.才能に頼らない仕組みづくりをする」とは、特別な才能のない人でも、仕組み通りにやれば、ある程度の結果を出せるようにすることです。そのためには、誰でもこなせるように、タスクを小型化します。例えば、「会議の資料を作る」というタスクは、「会議の日時を入力する」「会議の参加者を入力する」「会議のテーマを入力する」「会議の目的を入力する」など、小型化し、細分化できます。会議の日付を入力するのに、才能は必要ありませんから、あなたがロボットのようにこなすこともできますし、他人がロボットのようにこなすこともできます。
しかし、能力が高い人ほど、感覚的に仕事をやっている場合が多いため、明文化できずに困ることもあります。例えば、元プロ野球選手の長嶋茂雄さんも、個人としては優れた結果を出せる選手でしたが、身体感覚型の天才肌タイプで「ビューッと来たら、バシンと打て」とオノマトペで表現するため、説明するのは苦手でした。しかし、自分や人を効率的に動かすためには、チェックリストを作って作業を明確にして、誰でも同じような結果を出せるようにしなければなりません。
「2.意志の力に頼らない仕組みづくりをする」とは、怠け者だったり手を抜きがちの人でも、仕組み通りに行動すれば、ある程度の結果を出せるようにすることです。そのためには、誰でもこなせるように、タスクを手順化し、ルーチン化します。例えば、「会議の資料を作る」というタスクは、「1ステップ目は、会議の日付を入力する」「2ステップ目は、会議の参加者を入力する」「3ステップ目は、会議のテーマを入力する」など、ステップ化して、順序化します。順番通りにこなせば資料は完成しますから、手を抜いてしまう人でも同じ資料ができます。もちろん、あなたがロボットのようにこなすこともできますし、他人でもロボットのようにこなせます。
人と意志というのは、思いの他不安定なものですし、そのときの体調や気分にも左右されます。あなたがもし、付き合っている女性に振られてしまったら、意志の力は失われ、仕事をする気力もなくしてしまうでしょう。また、身内に不幸があったら、仕事も手につなくなってしまうかもしれません。しかし、手順化して習慣化しておけば、意志や意欲がなくても、自動的に淡々と作業をこなすだけです。意志なくしても行動できるようにするためには、作業をマニュアル化して、家具の組み立ての説明書のように、誰が作っても同じ出来栄えになるようにしなければなりません。
「3.記憶力に頼らない仕組みづくり」とは、覚え間違いが多い人でも、仕組み通りにできて、ある程度の結果を出せるようにすることです。そのためには、誰でもこなせるように、タスクを視覚化します。例えば、「会議の資料を作る」というタスクを、手帳にメモしておいたり、付箋に書いて残しておいたり、印刷して張り紙にしたり、マニュアルとして印刷したり、メールで送っておいたり、社内ネットでいつでも見れるようにしておきます。印刷した張り紙を見て1つ1つ確認するのに、記憶力は必要ありませんから、あなたがロボットのようにこなすこともできますし、他人がロボットのようにこなすこともできます。
人の記憶力というは非常にいい加減なもので、人は1日のあいだに話した内容の9割は、翌日には忘れていると言われています。また、イギリスのカーディフ大学の研究によれば、ガムを噛んでいたり、指先で机をトントン叩いたりしているだけでも、記憶力の低下が起こることが分かっています。昔は、ガムを噛むと集中力が増したり、記憶力があがると考えられていましたが、実際は、そのような些細な行動でも、記憶忘れにつながるわけです。
また、記憶は、ミスもよく生じます。例えば、映画のターミネーターシリーズの有名なセリフ「I’ll be back(また戻ってくる)」が語られるシーンは、ターミネーター2で、溶鉱炉の中にシュワルツネッガーが入っていき、親指を立ててサムズアップしながら言っていると勘違いされがちです。しかし実際は、ターミネータ1で、シュワルツネッガーが、警察署から追い返されたときに言っている言葉です。
以上のように、記憶力というのは不確かなので、記憶力に頼って仕組みを覚えておくのは危険です。そのため、仕組みづくりをした後は、必ず、記憶の外の「外部記憶」として保存しておくようにしましょう。「記憶より記録」が、大切です。
才能・意志の力・記憶力に頼った仕組み作りで仕事を進めるのは、社会人としては二流と言えるかもしれません。一流のビジネスマンは、どんな状況であったとしても、ロボットのように、最低限の仕事の品質は確保できますし、他の人に対しても、最低限の仕事を要求することができます。