チェックシートの作り方
チェックシートの作り方で、具体的に気をつけるポイントは、「TO DO(するべきこと)」と「詳細」の2つで一組にして、チェックシート化していくということです。「TO DO」と「詳細」は、次のように使い分けます。
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「TO DO(するべきこと)」とは、やることを一言で示したものです。例えば「ホワイトボードの準備」「拭き掃除をする」といったものです。「TO DO」は、やるべきことを箇条書きにしたものとも言えます。
「詳細」は、「TO DO」の具体的な行動内容を書いたり、関連URLを示したものです。「詳細」に書く内容は、「細かすぎるのでは?」というくらい細かく指定して、あいまいな言葉は極力排除します。そのため、「もし、人数が少なかったら…」ではなく「もし、人数が10人未満なら…」と数字にしてあいまいさを排除します。また、「…を調整する」ではなく「…のスタート時間を10分遅らせる」と具体的な行動を書いて、あいまいさを排除します。あいまいな言葉を使うと、人により判断が異なってくるため、行動もあいまいになったり、どうすればよいか分からなくなって作業が止まったりしてしまいます。そのため、判断の入る余地がないくらい、細かく条件を練り込みましょう。
例えば、「TO DO」と「詳細」の組み合わせは、次のようになります。
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一般的なチェックシートというのは、「TO DO」の部分のみを抜き出した、箇条書きのものが多いようです。しかし、チェックシートのみで業務を正確にやってもらおうとすると、箇条書きだけでは役不足なため、結局、管理者が何度も質問される羽目になります。
しかし、きちんと「詳細」まで作れていれば、経験の浅い新人やアルバイトでも、迷わずに実行することができますし、一度チェックシートを使ったら、2回めからはアルバイトでも同じようにできるようになります。理想的なチェックシートとは、新人やアルバイトが頭を使わなくても、ロボットのように淡々とこなしていくことで、仕事が完遂できるシートです。
チェックシートの作り方は、どこまで応用可能か?
仕事の仕組み作りに関する著書も出版している「泉正人」さんは、チェックシートの作り方のプロフェッショナルとしても有名です。そのため、泉正人さんは、「作業系の仕事」のあらゆるものを、チェックシートにより仕組み化して、社員に任せています。泉正人さんの著書の中では、作ったチェックシートのごく一部を羅刹しており、次のようなチェックシートを作っています。
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なお、給与計算ソフトの使い方のチェックシートは、次のように、ありとあらゆる点まで、徹底的に細かく書き出してリスト化しています。
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例えば2ページの書類をA4用紙1枚にまとめて出力するためには「ファイル」→「印刷」→「プロパティ」→「2枚」→「OK」→「印刷をクリック」といった手順を書いておき、頭を使うことなく仕事を完了できるようにします。そのため、パソコンのハウツー本やマニュアルに近いとも言えるかもしれません。
パソコンの使い方は、使いこなせる人にとっては簡単ですが、パソコンを使いこなせない人は、操作を少しするたびに手が止まり、作業がストップします。また、ひどい例だと、昨日までは普通にパソコンでログインできていたのに、いきなりログインの仕方が分からなくなってパニックになるような女性スタッフもいます。同じように、「機械は苦手だから」といって、コピー機がつまったりインクが切れるたびに、修理やドラム交換を頼んでくる女性も多かったりします。しかし、分からないからといって、自分で勉強したり覚えようしたりするわけでもなく、何度も同じことを尋ねられて、こちらの手も煩わされます。
実際、仕事の9割くらいは、作業と関係ない時間に費やされていると言われています。しかし、チェックシートがあれば、無駄な時間も一気に減り、作業時間も驚くほどスピードアップし、こちらが手を煩わされることもなくなります。
昔の会社では、説明は1回するのみで、メモを取りながら説明を聞くのが普通でした。しかし最近は、「理解できなくて当然」「教えてもらうのが普通」と考えている人も、非常に多いです。しかし、何度も教える羽目になって時間を取られるのは非常に無駄ですから、チェックシートをさっさと作ってしまう方が、最終的には効率的に働くことができます。