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仕組み化とは?
仕事の仕組み化とは、次のようなものです。
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そのため、仕事の仕組み化とは、個人にはあまり役に立たず、会社の経営者や管理職の人にとって重要だと思われがちです。しかし実は、個人の仕事でも仕組み化が可能ですし、例えば、コミュニケーションをともなう仕事であったとしても、仕組み化することはできます。
例えば、次のようなコミュニケーションも、仕組み化できます。
営業 | 接客 | 来客対応 |
電話 | メール | 面接 |
コミュニケーションなどの会話の仕組み化は、フレキシブルで柔軟な対応が必要だと思われがちですし、仕組みというよりも、むしろ、経験や才能や、適性が物をいう分野だと思われがちです。確かに、経験が大事な面はあるので、営業職の経歴のある方は、大抵、話術が巧みですし、パブやラウンジの女性とも延々と話し続けることができます。しかし一方で、きちんと仕組み化できていれば、経験や才能はなくても、ある程度安定したコミュニケーション技術を発揮することができます。
コミュニケーションスキルの仕組み化の例として分かりやすのが、コンビニやクレームセンターの「接客マニュアル」でしょう。コンビニやコールセンターでは、アルバイトの出入りが早く、長くて3年、短ければ数ヶ月で辞めてしまいます。そのため、常に新しいバイトが入ってきますが、入ったばかりのアルバイトにすぐに仕事をしてもらうためには、マニュアルは不可欠です。そして、マニュアルがあるおかげで、コンビニやコールセンターのバイトは、一般的には約3ヶ月でマニュアルなしで働けるようになり、最近の若い方でも半年もあれば、なんとか一人前になります。
同じように、個人の仕事であっても、「マニュアル化」と呼ばれる仕組みを、仕事の節々に盛り込むことができます。例えば、営業トークの場合でも、基本的には次の4段階の流れで進むため、マニュアル化可能です。
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この4段階の流れは、ごくごく、一般的な営業トークです。そしてさらに、1段階ずつマニュアル化していき、「アイスブレイク」として選ぶ話題をマニュアル化したり、「ヒアリング」での尋ね方をマニュアル化して、仕組み化を行います。
「アイスブレイク」を仕組み化するのは難しいように考えがちですが、実際は、落語の枕のように仕組み化することも可能ですし、数パターン用意しておくという方法もあります。実は落語もマニュアル化されている部分が多く、「前口上」「枕」「本題」「サゲ(オチ)」の4つで構成されていますが、本来の「枕」は、噺ごとに決まった形があります。もちろん、立川談志さんのように40分延々とフリートークで枕を続けれる芸術肌な方もいますが、普通の社会人であれば、そこまでの機微は求められません。そのため、営業の仕組み化をするときも、お客さんを最後にお見送りするまでの一連の手順について、ある程度、仕組み化することができます。
仕組み化とは、個人の仕事にどう使えるか?
仕組み化とは、個人の仕事で使うと、次のように役立ちます。
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「1.慣れていなくても仕事ができる」というのは、半自動的に仕事をすることができるため、とりあえずは仕事の形になるということです。レストランで例えるなら、達人シェフのような絶品の料理を作ることはできませんが、チェーン店のメニュー程度なら提供できます。また、マニュアルどおり動けばいいだけなので、初心者でも、あまり緊張することなく仕事をすることができます。
「2.他のことに集中できる」というのは、仕組み化して半自動化して行動することで、余裕ができるため、他のことをに気を回す余裕もできるということです。例えば、営業職であれば、手順は自動化されていますから、相手の話しているコミュニケーションの内容に集中できます。また、事務仕事であれば、ミスチェックに注意を配分するゆとりもできますし、次の仕事を行うための余力も残せます。余裕があれば、突然のトラブルにも対応しやすいですし、アドリブを加えることで独自性のある仕事をこなすこともできます。
「3.仕組みを改善することでさらに高品質にできる」というのは、毎回同じマニュアルに従って行動することで、自分のマニュアルの未熟なところに気づきやすくなるため、改善しやすくなるということです。そのため、より質の高いマニュアルへと修正して、品質の高い仕事ができやすくなります。
何事でも、とにかく早く技術を身につけるためには、1つのことにとりあえず集中し、それを改善していくのが一番です。1つのやり方に集中した方がよいことは、昔から言われており、例えば、将棋初心者の方も、1つの戦法に絞った方が効率的に上達できます。また、株やFXでも、1つの銘柄や通貨ペアに絞ったり、1つのテクニカル指標に絞った方が、早くチャートを読む力が身につきます。
1つの仕組みに絞ることで、なぜ技術が早く身につくかというと、次の2つのメリットがあるためです。
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「1.学習する範囲が少なくて済む」というのは、1つの仕組みを作り、それを修正する方が、学習する範囲が絞られているため、効率的に学習できるということです。ピカソは「優れた芸術家は真似をし、偉大な芸術家は盗む」という言葉を残していますが、仕事でも、毎回新しい仕組みを創造しようとしたり、毎回新しく学習し直したりたりするのは、時間もかかり、非効率的です。そのため、いつまで経っても、優れた社会人や、偉大な社会人にはなれません。そのため、まずは仕組み化を行い、その仕組みに絞ってブラッシュアップしていった方が、効率的にスキルを磨けます。
「2.経験値を積みやすくなる」というのは、仕組み化されてルーチン化された作業であれば、何度も繰り返して回数をこなしやすいため、経験値を積みやすくなります。また、毎回同じ仕組みで行動していれば、自分流の仕組みのプロフェッショナルに早く到達できるため、勝ちパターンもつかみやすくなります。勝ちパターンを掴めれば、あなたの仕事は確変状態に突入でっきますから、仕事の成績も指数関数的にアップしていきます。
以上のように、仕組み化とは、メリットがいっぱいあります。しかし、多くの方は、「仕組みを作るのはめんどくさい」といって、作ろうとしません。しかし、仕事のできる人は、マニュアル化できることは徹底的にマニュアル化して仕組み化し、思考のゆとりを確保して、創造的な作業に時間を費やしています。