ジェフベゾスとは

ジェフベゾスとは

ジェフベゾスとは、Amazonの創業者兼CEOであり、2018年には世界長者番付で1位にもなった実業家です。ジェフゾベスの成功には、次のような特徴があります。

  1. 本屋の知識はなかった
  2. 懸命に働き、楽しみ、歴史を作ろう
  3. 戦争型

それぞれについて、見ていきます。

ジェフゾベスとは:1.本屋の知識はなかった

ジェフゾベスとは、「本屋の知識はなかった」という特徴があります。Amazonは、元々はネット上の本屋として始まりましたが、ジェフゾベスは、本に関しては門外漢でした。

ジェフゾベスは、1964年生まれで、アメリカのプリンストン大学を主席で卒業した後、金融通信会社や投資銀行などで働いていました。しかし、仕事の中で、現代はゴールドラッシュならぬ「インターネットラッシュ」であることに気づき、ネットの商売で起業することを決意しました。

しかし、インターネットで販売する商品として本を選んだのは、書店業界に詳しかったからというわけではなく、本が好きだからという理由でもありませんでした。ジェフゾベスは、インターネットで扱えそうな商品を20ほどリストアップして、その中で最も成功の可能性がありそうなものとして選んだのが、本だっただわけです。

本であれば、在庫を持つ必要がなく、出版社に配送してもらえるというのも、選んだ理由の一つでした。また、本のタイトルは膨大である一方、全ての本を揃えることのできる本屋はありえないため、インターネットでデータベースを作って、そこから選んでもらうというシステムとも、相性抜群でした。さらに本は、服や雑貨や食品などと違って、商品の品質も均一なため、通販での販売に適していました。

ちなみに、Amazonの社名の由来は、アマゾン川が地球最大の川であったため、地球最大の本屋を作りたいというジェフゾベスの目標をイメージさせるものとして選ばれました。1994年創業当初のベゾスは、初期投資を抑えるためもあり、ガレージ付きの部屋を借りて、ガレージの中で創業しました。シアトルに物件を借りましたが、その理由の1つは、本の取次業者のうちの1社が近くにあったからでした。また、ガレージでの創業を選んだ理由としては、AppleやGoogleなどの大企業も、ガレージから出発したため、創業物語に不可欠と考えたためです。

ジェフゾベスのガレージの話は、ソフトバンク社長の孫正義さんの、みかん箱の逸話を思い起こさせます。孫正義さんは、ホンダの創業者である本田宗一郎さんに習って、創業当時、みかん箱の上で社員に熱弁したという逸話が残っています。

大きな成功を成し遂げる経営者は、他の偉大な経営者の成功譚も熟知しており、節々で参考にしているのかもしれません。

ジェフゾベスとは:2.懸命に働き、楽しみ、歴史を作ろう

ジェフゾベスとは、「懸命に働き、楽しみ、歴史をつくろう」という哲学を持っています。そして、歴史を作るためには、のんびり仕事をしている暇はないので、「急速に大きくなろう」をスローガンにして、短期間での巨大化を目指しました。そのため、自分の事業の成功確率は10%程度と考えていましたが、周囲には30%と説明し、家族からも資金をかき集めました。

ジェフゾベスは、短期の利益は重視せず、ひたすらブランド力を高め、他社を圧倒して世界一を目指すという長期戦略を取っていました。そのため、Amazonは「赤字経営」と言われるほど、毎年、積極的に設備投資を進め、決算では毎年赤字発表を続けていました。Amazonの急成長を支える設備投資は他社を圧倒しており、例えば、2018年の設備投資額のランキングでも、Amazonは世界1位で22.6億ドル(2兆5,600億円)となっており、2位のGoogleの親会社であるアルファベット社の16.2億ドル(1兆8,350億円)を大きく上回っています。

なお、ジェフゾベスは「歴史を作る」を哲学にしていますが、孫正義さんも、幕末の傑人である坂本龍馬を尊敬しており、常に、日本を変えることを考えながら、ビジネスを行っています。大きな事を成す経営者は、その志も大きいといえるのかもしれません。

ジェフゾベスとは:3.戦争型

ジェフゾベスとは、「戦争型」と呼ばれるビジネスの方法を取っています。

「戦争型」とは、楽天の創業者である三木谷浩史さんの考えたビジネス手法の1つで、「戦闘型」との比較で、次のように説明されています。

  • 戦闘型:小さい勝利を積み上げて、じわじわとシェアを広げていく
  • 戦争型:大きな戦略を展開していき、一気に世界シェアを奪い取る

「戦闘型」で有名ない企業は、フェイスブックや楽天です。フェイスブックは、初めはザッカーバーグによって作られたハーバード大学のソーシャルネットワークでしたが、1ヶ月後には利用者は1万人以上になり、その後、徐々に、アメリカ北東部のアイビーリーグに所属する大学に解放されていき、世界中に広まっていきました。楽天も、当初は13店舗のスタートでしたが、社員が日本中を駆け回って出店をうながし、徐々に店舗数を増やしていき、現在では、日本最大のECサイトとなっています。

「戦争型」で有名な企業が、MicrosoftやGoogleです。Microsoftは、Widowsの前身であるMS-DOSを普及させるために、当時メジャーだったDR-DOSの10分の1の価格で売り込みをかけて、独占的な地位を築きました。また、Windowsは、パソコンメーカーの製品にプリインストールされるOEM版を、通常よりも大幅に安価にメーカーに提供することで、大きくシェアを伸ばしました。さらに、Windows95の販売時には、WordとExcelをプリインストールすることで、今までトップシェアを誇っていた「一太郎」や「ロータス1-2-3」を一気に打ち負かして、ビジネスソフトとしてもシェアを伸ばしました。その結果、Windowsは、1990年代後半には、事実上のスタンダートなOSとしての地位を確立しました。

また、Googleは、多くの会社が、利益の出ない検索エンジンの開発を中止していく中、1996年より開発を続け、検索エンジンNo.1としてのシェアを確立しました。そして最終的に、2000年10月にGoogleは検索エンジンに広告を設置して、莫大な利益を挙げるようになりました。2006年にGoogleが買収したYoutubeも、ずっと赤字を出し続け、ようやく黒字化したのは2011年頃だと言われています。

Amazonのビジネススタイルも、巨額の設備投資を投じて世界を席巻することを目指す、典型的な「戦争型」で、圧倒的なシェアを占めるようになった現在でも、積極的な買収と合併を続けています。さらに最近では、独自の貨物物流網を完備するために、2016年には自社ブランドの貨物飛行機「Amazon One」による空輸ネットワークの構築、さらに2017年には貨物船による海運業への参入も行っています。

ジェフゾベスとは:まとめ

ジェフゾベスとは、現在では、世界的な主要IT企業である「GAFA」の一角としても名を連ねている、Amazonの創業者です。

「GAFA」は、日本ではあまり馴染みがありませんが、世界を作り変えた企業とも言われており、検索エンジン市場のトップである「Google」、デジタル機器市場を席巻している「Apple」、ソーシャルネットワークの巨人「Facebook」、そしてネットショップで世界一位の「Amazon」のことを指します。

現在のAmazonは、小売業トータルとして見た場合のランキングは、2019年時でも、まだ世界ランキングは4位です。しかし、世界第3位でアメリカ最大のスーパーマーケットチェーン店であるクローガーと、世界第2位のコストコとの差は僅差で、すでに射程圏内となっています。世界第1位のウォルマートは、未だ大きな差はあるものの、ウォルマートが旧体質の経営で苦戦している状況なので、現在のジェフゾベスの野望である、世界一の小売業としての夢も、近いうちに実現するかもしれません。

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