仕事と個性

個性が出せる仕事とは?

「個性」というのは、仕事の上でも、人生の上でも、よく取り上げられるトピックです。しかし、職場で周囲を見渡していると、次のような人を多く見かけるように思います。

  • 自分の個性とはなんだろうと、真剣に考えたことがある人が、何人いるのだろう?

私の働いていた職場には、よく、盛り上げ役を任されたり、イベントで司会を頼まれやすい人がいました。その人は、「自分はおもしろい」と公言しており、行事でも率先して、盛り上げ役を引き受けていました。しかし、その人の司会を傍から見ていると、確かに卒なくこなしてはいますが、それほどおもしろいわけでもありませんでした。確かに、笑いは起きていますが、ユーモアがブラックすぎて、会場に起こっている笑いは、ほとんどが苦笑です。

その人は、「自分はおもしろい」という個性を持っていると考えていましたが、傍から見ていると、おもしろいという気はしません。ただ、会場をしらけさせることがないだけです。そのため、その人の個性は「おもしろい」というよりは、「場持ちがいい」という方がピッタリきます。そのため、おもしろくないのに、わざわざ、おもしろいことを言おうとするのは、せっかくの「場持ちがいい」という個性が出せる仕事をしていないことになります。

社会人は、個性が何かが分かれば、仕事や人生に活かすことができます。しかし、個性が正しく分かっていなければ、個性を活かすことはできません。実際、ほとんどの人が、自分の個性は次のようなものだと勘違いしています。

  • 自分がやりたいこと=自分の個性

そのため、「自分はおもしろくありたい」という歪んだ色眼鏡で見てしまうため、「自分はおもしろい」と勘違いしてしまうわけです。しかし、本来、自分のやりたいこと・なりたいものが、自分の個性である人というのは、かなり稀です。例えば、野球をやりたい人が、全て野球に秀でているわけではありませんし、絵を描くのが好きな人が、全て絵が上手なわけではありません。

多くの社会人は、「漠然とやりたいと思っていることが、自分の個性だと勘違いしている」というのが現状です。そのため、職場で働く多くの人が、「自分の個性が認められない」と嘆いて職場を去ったり、「自分を理解してくれる人がいない」と嘆いてい社会を去り、ニートになったりしています。

自分の個性を測るためには、自分の希望や期待とは切り離して、自分は客観的に見てどうゆうことができるのか、しっかりと自己分析して認識しておく必要があります。自分がどのように見えるか理解するためには、自分の今までの生活を見直してみることも必要です。現在の自分というのは、自分の個性の集大成であるともいえます。今、あなたが男性の友達ばかりなら、男性を惹きつけるカリスマのような個性を持っているのかもしれません。なぜか、職場で雑用ばかり任されるのなら、丁寧に仕事をこなせる個性があるのかもしれないですし、何でも楽しくこなせると思わせるような個性があるのかもしれません。

個性と、自分を活かす仕事

個性を、誰よりも分かっていなければいけない職業というのが、タレントです。タレントは、他の人にはないキャラクターが必要です。そんな、自分を活かす仕事の社会の中で生き抜いてきたタレントとして有名なのが、ルー大柴さんです。

ルー大柴さんといえば、過去には「女性が寝たくないタレント調査」で、トップになったこともある、ギョロ目でオーバーなアクションをウリにしているタレントさんです。ルー大柴さんをテレビで見た方の多くは、くどくどして暑苦しい感じがするハズです。

しかし、実際のルー大柴さんは、非常に礼儀正しく、物静かな方です。ルー大柴さんは、20代の頃から舞台に立ったり、テレビに顔を出したりもしていましたが、パッとしませんでした。しかし、個性やキャラクターを確立することで、ようやく35歳になってから売れ始めるようになり、今では大御所芸能人の地位を築くまでに至りました。ルー大柴さんが自分の個性を見出し、作っていったのは、次のような流れの中ででした。

  1. 今までにないタイプのキャラクターを作る必要性があると考え、まず第一に、自分には何ができるか、何が売り物か、冷静に分析した
  2. 長い間アングラ芝居をやっていた関係で、テンションを高めることには自信があるため、「テンションの高さ」が、売り物になる個性だと分析した
  3. さらに、若い頃の外国生活の経験から得た積極性を加えることで、大きな身振り手振りでしゃべるキャラクーを作った

ルー大柴さんのオーバーなリアクションは、地ではなく、演出して作り上げたキャラクターです。ルー大柴さんは、人をどんどん押しのける大げさな動作が持ち味ですが、実は、決して背が高いわけでも、大柄なわけでもなく、身長は172cm、体重65kgです。しかし、あの大作りの濃い顔と全身の身体すべてを使ってアクションで、存在感を示しているわけです。また、ルー大柴さんのしゃべりには、つい、周囲をスイングさせてしまうような心地よいリズムもあります。

ルー大柴さんは、インタビューで「しらふでよくできますね」と尋ねられると「それはプロですから」と、涼しい感じで、少しはにかむように語ったそうです。また、ルー大柴さんは、次のようにも語っていました。

  • 「人生は一度だけなんだから、とにかく好きなことがやりたい。好きなことをやるっていうのは、とても大変なことだと思うんですよね。ですけど、1回だけの人生、やれるところまでやって、それが一番幸せなんじゃないかと思っているんです」

ルー大柴さんのような、個性を売り物にする職業の方でさえ、35歳までは、自分のことは分かっているようで、なかなか分かっていませんでした。私達も、自分の本当の個性とは何なのかを絶えず自己分析し、自分を活かす仕事につなげていけば、仕事も、もっと楽しくなり、成功にもつながっていくかもしれません。

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