目次
仕事におけるコミュニケーション能力を高める方法
コミュニケーション能力を高める方法を意識するのは、仕事で成功するためには大切なことです。コミュニケーション能力は、会社内での同僚や上司と円滑に仕事するのに役立つだけでなく、取引先やお客さんとの交渉をうまく持っていくためにも重要になってきます。
では、コミュニケーション能力を高める方法で、最も意識しなければいけないことは何でしょうか? パッと思いつくものを挙げると、次のようなものがあるかもしれません。
簡潔さ | 論理的な会話 | 共感 |
笑わせる能力 | 雑談力 | 聞き上手 |
他にも、思いつくことがあるかもしれません。しかし、先程あげたものは、どれも、コミュニケーションの技術やテクニックです。しかし、コミュニケーションは、相手とどのような関係になりたいかが明確でないにも関わらず、技術だけを駆使していては、一方的な会話になってしまいます。
会話は、相手があって初めて成立します。そして会話の妙味とは、お寺の撞木(しゅもく)と鐘のようなもので、あなたの鐘の打ち方により、相手の鐘の音色も変わっていくことです。会話は、こちらの態度によって、相手の態度も変わってくるため、あなたが何を目的にして会話するかを明確にしておくようにしましょう。そして、コミュニケーション能力を高める方法で、あなたが目的としなければいけないことは、次のことです。
|
会話によるコミュニケーションの目的は、結局のところ、あなたのファンを増やすことにあります。ファンと言われると、アイドルや俳優のファンを思い浮かべてしまいがちです。しかし、身近な人を見回しても、職場や知り合いの中でコミュニケーション能力の高い人は、たくさんのファンを抱えていることが分かると思います。そして、たくさんファンがいる人は、総じて、周りの協力を得ることができるため、仕事で成果を出しやすく、社会的に成功しやすくなります。
あなたが会話する相手は、あなたと何らかの関係やつながりのある人であるハズですが、初期状態では、プラスでもマイナスでもない関係です。しかし、コミュニケーションを通して、あなたのファンになってもらえれば、相手は、あなたの味方になってくれ、建設的な関係へと変化します。
しかし、仕事上の会話では、ついつい、「相手を論駁してやろう」とか、「言い負かしてやろう」とか、「丸め込んでやろう」とか、「言いくるめてやろう」などと、考えてしまいがちです。一方、会話を通してファンを増やそうと思えば、会話の質が大きく変わってきますから、そのような攻撃的な会話にはなりません。コミュニケーションの目的は、あなたのファンを増やすことなので、無理におもしろい話をして笑わせたり、相手の話に無理に共感する必要もありません。あなたなりの話し方で、あなたの人間性を分かってもらい、ファンにすればいいわけです。
しかし、人間はわがままなものなので、ファンを大事にしなければいけない職業の人でさえも、相手が嫌いな人だと、ぶっきらぼうになったり、素っ気なくなったりしがちです。例えば、1996年に86歳で亡くなった副総理の経験もある政治家の金丸信さんは、インタビューのとき、インタビュアーの顔を見ず、秘書の顔ばかり見ているような人でした。コミュニケーションは、表情や視線からも判断されますから、顔をそらすというのは、おしゃべりの基本を逸脱しているのでNGです。そのため、インタビュアーも金丸信さんのファンになることはなく、「横顔がマントヒヒに似てるな」と思っただけで、会話の内容も全く伝わってくることはありませんでした。金丸信さんは政界のフィクサーとして多くの人脈を持っていましたが、結局は、利権がらみのつながりがあっただけで、決して、ファンが多かった人物とは言えません。
人によって態度をガラリと変えてしまうと、人間性の奥行きの浅さが分かってしまいますから、素っ気なくされた相手は、あなたのファンをすぐに辞めてしまいます。一方、ファンの多い人物は、受け答えや反応に、大きな差をつけるということもなく、常に余裕のある態度で受け答えします。そのため、相手が誰であろうと、キチンと応対するのが、相手の気持ちをキャッチして、ファンを増やす第一歩となります。
仕事でのコミュニケーション能力の天才
コミュニケーション能力を使ってファンを増やすくことが重要な職業といえば、すぐに思い浮かぶのは芸能人ですが、最もファンが重要な職業というのは、なんといっても「政治家」です。政治家は、多くのファンを作り、自分に投票してもらって初めて、仕事を続けていくことができます。そんな政治家の中でも、人の心をつかむ天才と言われたのが、2006年に68歳で亡くなった、元総理大臣の橋本龍太郎さんです。橋本龍太郎さんといえば、ニュース番組などのゲスト出演しているときの、自分の方式を崩さないキツイ口調が有名で、「もっと勉強しなさい」「そんな質問には答えられない」という言葉を度々、発する人でした。しかし、一方、直接、インタビューを受けると時は、テレビのときとは打って変わって気さくで、次のような態度で周りを驚かせるような方でした。
|
このような、フレンドリーさがあるため、当初は橋本龍太郎を毛嫌いして「橋龍(橋本龍太郎のニックネーム)は嫌いだ」と言っていた人も、帰りにはコロッと心変わりして「いやあ、あの人はいい人だ」と、手放しでほめるようになったそうです。仕事や社会で成功するために、コミュニケーション能力を高める方法の理想の形は、橋本龍太郎さんように、「たった一言、二言の会話をはさむだけでも、相手を自分のファンにできる」ようなスタイルです。